Vol.11:『その一員として~メイク・アップ~』

「マーチングとは、吹奏楽の静的な要素に動的な要素を加味したもの」(『日本マーチングバンド協会』)です。その効果は多々あり、そのアプローチの方法も多々あります。

マーチングをするにあたって、しばしばその集団は3つのセクションに分割されて考えられます。1つには、ブラス・セクションです。およそ、このセクションが集団の大半を占めていることでしょう。金管楽器や木管楽器といった管楽器で構成されます。次に、パーカッション・セクションです。ブラス・セクションと同様に演奏に動作を伴うバッテリー・パーカッション(ドラム類)と、鍵盤楽器など移動が容易くないピット・パーカッションの2つからなります。リズム面での先導的役割を果たすセクションです。最後に、バンド・フロント・セクションと呼ばれるセクションです。演奏についての担当をせず、視覚的効果を付加するセクションであり、カラー・ガードやダンス・チーム、ライフル隊やセイバー隊が該当します。

さて、マーチング活動を行っている団体は多種多様であり、そのレベルも様々です。外部に発信されてはじめて形を為す芸術のひとつであるマーチングですが、外部に発信するために、その団体の力に相応しい適したショウを目指すべきであることは、言うまでもないことでしょう。そしてその基盤は、各セクションに依存します。各セクションそれぞれに求められるものは異なりますし、ショウの中でそのセクションが核をなす時間帯というのも、また異なります。ですが、どのセクションにおいても、ショウの完成形をイメージし、そこを目標として練習を積み重ねる必要があります。

ショウとして観客の目に触れる際には、当然の如く、それなりの完成度なりレベルが要求されます。それは、ショウを作成する立場からすれば、観客側の勝手な期待です。しかし、観客側からすれば、各団体が自ら引いているであろう最低限のラインとして、期待に表れるのです。ですから、各団体・各セクションが、そのラインを意識してショウを作り上げる必要があります。ところが、厄介なことに、このラインは年々変動します。それも、大抵の場合、高めにです。さらには、集団の構成メンバーについても、入れ替えが確実にあります。そのような中で、観客の期待に応え続けていくためには、シーズンを通しての、着実にレベル・アップを望める練習体制が必要となります。それまでの歴史から将来を展望し、長期的なプランを組み立てた上に、常にそれを検討しながら実践していく。1日1日、1回1回ごとに、ごくわずかでも成果のあるように。そのようにして、少しづつショウを完成形に近づけていくことが、観客の期待に応えることに繋がるでしょう。

自分たちの意思を伝えるためにも、ショウの完成度というのは、必要不可欠な要素です。イメージした完成形を具現化すること。練習ごとに着実にレベル・アップし、常にその可能性を広げていくこと。このメイク・アップの作業こそ、最も困難を極めるものの、1番の充実感をもたらします。避けては通れないところです。マーチングに携わる、その一員としては。

 

※こちらは、2005年11月28日に書き、2010年6月23日に一部修正した記事です。

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