Vol.10:『その一員として~コーディネイト~』

「マーチングとは、吹奏楽の静的な要素に動的な要素を加味したもの」(『日本マーチングバンド協会』)です。その効果は多々あり、そのアプローチの方法も多々あります。

マーチング活動を行っている団体は、多種多様であり、そのレベルも様々です。外部に発信されてはじめて形を為す芸術のひとつであるマーチングですが、外部に発信するために、その団体の持っている力を大幅に越えるショウを作成したり、逆に力を持て余してしまうショウを作成することは、ナンセンスです。その団体の力に相応しい、適したショウを目指すべきであることは、言うまでもないことでしょう。

ただ、その力を見極めることは、なかなか難しいものです。基礎的なパターンを行い、その状態によって判断をしていくということもひとつの手ですが、練習如何でレベルの上昇も下降も可能であり、また先々が不明であるのが通常です。ですが、どこかで線を引かなくてはならないのが、その見極めをより困難にするところです。

“ここまでできたら、こんなこともできるだろう”というのは、必ず頭を掠める言葉です。ショウを組み立てていく過程においては、やはりそれまでのレベルからショウのレベルを考えるという作業が行われるでしょう。ところが、逆にショウに合わせて団体を育て、レベルを上げていくといった一面があるのもまた然りで、両方が同時に為されることが、その団体の将来的な発展にも繋がります。

このような作業は、スタッフ間での綿密な打ち合わせも当然肝心ですが、練習内容にも若干の工夫が必要になるでしょう。例えば、ショウの中で使用するであろう一連のフォーメーション展開が把握できるならば、それを分解し、ミニ・コンテとして基礎練習からのステップ・アップに利用することで、実際のショウの練習に入ったときの導入が容易になります。さらに、レベル・アップも可能でしょう。また、ショウの練習に入っても、例えば、AというフォーメーションからBというフォーメーションへと展開したいときに、その移動過程としてa・b・c・・・といったように、いくつかの過程を用意し、練習時間や完成度と相談しながら、必要があれば、よりレベルに合ったものに変更していくなどの作業は、避けて通れません。より綿密な打ち合わせのもと、より早くショウの全貌を思い描き、それに向けた練習を積んでいく必要があります。

よく「基礎が上手い団体ほど、ショウも上手い」と言われます。基礎が応用となり、基礎の集大成こそがショウなのです。ですから、コーディネイトの作業はシーズンを通して常に行われるべきものです。団体のもつ力をより早くより確実に掴むことで、より明確な見通しを立て、コーディネイト(調整)をし続けること。それによって、よりその団体の持ち味を生かし、力を存分に発揮できるショウの作成が望めるのではないでしょうか。

「マーチングは音楽活動」です。自分たちの意思を伝えるためには、自分たちの意思を伝えるためには、より自分たちのレベルに合致したショウを作り上げなくてはなりません。コーディネイトすることは、欠かせない作業であり、最も重要な作業です。外部に発信されてはじめて形を為す、芸術のひとつであるマーチングに携わる、その一員としては。

 

※こちらは、2003年9月7日に書き、2010年6月23日に一部修正した記事です。

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