Vol.08:『マーチングの一効果~精神的影響~』

マーチングの効果のひとつに、精神的な影響が挙げられます。豊かな情操を高められる、忍耐力が養われる、といったものです。このことについても、少しばかりですが理論的に考えてみましょう。

まず、豊かな情操が高められるという影響ですが、マーチングは楽器演奏をしながら移動をするものです。したがって、音楽活動であることは否めないところです。そして、音楽は日常の生活にも深く関わり、聴く人に心理的な影響を及ぼすことは科学的にも証明され、また広く知られていることです。さらに、音楽のこの力は、聴くことによってだけでなく奏でることによっても表れることもまた知られています。このことにより、マーチングについてもやはり心理的な効果が表れると言えます。また、リズム感を身体で体得でき表現できる、身体による表現ができる、といった音楽的影響もマーチングの一効果ですから、マーチングによって豊かな情操が高められるということは確かに言えるでしょう。

続いて、忍耐力が養われるという影響ですが、この点については、ドリルとも称されるマーチングの特性が関係しています。どのようなことも同じでしょうが、物事には順序があり、始まってしまえば終わりまでの長い道程があります。マーチングも然りで、基礎的な練習からパレードもしくはフォーメーションへと移行していきます。さらには、音楽と動作を組み合わせていかなくてはいけません。また、統一美で訴える部分が大きいため、個々の動作や演奏を統一して一体化させる必要もあります。その中には、非常に地味でかつ時間を要する作業もありますが、その作業こそがもっとも忍耐力を要求されるところでもあります。

ところで、芸術というものは自分の外面に対して主張されるものです。ですから、それを受け止める側の状態によって様々に解釈されます。伝えたいメッセージが明確に伝わるか否かは、伝える側からは確実には判断ができないのです。マーチングも音楽ですから、やはり芸術のうちでしょう。そして、どこまでいっても完成はあり得ないという芸術の性もありますから、余計に各種の練習が繰り返されるのです。そう、誰もが経験したことのある漢字ドリルや計算ドリルのように・・・・・・。

さて、情操や忍耐力については、実際にやってみないうちにはそうそう感じるものではありません。やってこそ、その苦労や効果がわかります。ひとつのことをやり遂げることによってそれまでの過程に起こった辛いことなどが別の機会には辛くはなくなるというのは、当然のことです。たとえ内容の異なることでも、次に辛いことが起こったときにそのときの効果を初めて知るのです。

さて、マーチングの一効果について述べてきましたが、マーチングを始める際に個人的にこのようなことを考える人はいないでしょう。ですが、少し理論的に考えてみると、たったひとつの効果がとても深い要素であることに気付きます。マーチングはひとつの芸術です。故に完成というものはあり得ず、魅力も深いのです。

 

※こちらは、2002年5月1日に書いた記事です。

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