Vol.06:『マーチングの一効果~音楽的影響~』

マーチングの要素のひとつに、音楽的効果というものがあります。リズム感を身体で体得し表現できる、身体による表現ができる、といったものです。

さて、この効果、みなさんは自然と経験しているかもしれません。静かできれいなメロディの流れる中、緩やかに身体を横に揺らしたことはないでしょうか?ラテンの曲やジャズの曲が流れる中、アップ・ビートのリズムを身体で刻んでいたなんてことはないでしょうか?これらは立派な身体による表現です。

ところで、人間は、最近では生まれる前から音楽を聴いていると言われています。胎児の頃から、母親の身体を伝って外の音を聴いているのです。よくモーツァルトのソナタなどを聴かせると胎教に効果的であると耳にしますが、少なからず胎児の頃から音楽によって、心理的な影響を受けていることは間違いないようです。また、日本人には、古来よりの文化である俳句や短歌の影響で、五・七・五のリズムが潜在的に身に付いているとも言われ、実験でかなり高い信憑性が証明されたそうです。

マーチングにおいて、リズムの体得とは、第一に一定のテンポを感じることを身に付けることです。日常で何気なく感じているリズムを、テンポという正確な刻みとして捉えることによって身体に染み込ませます。Mark Timeを始めすべてのマーチングの動作というものは、一定のテンポで行うのが基本です。それに対して、音楽は様々なリズムで奏でられます。この両者が同時に行われることによって、様々なリズムを自ら体得できるようになります。

また、音楽を動作で表現するマーチングにおいて、リズム感を表現するために、様々なステップを用いることがあります。サンバ・ステップやアップ・ビートのステップなど、数を挙げれば限りがないのですが、人の数だけ感じ方があり、その分だけ当然にステップが存在するでしょうから、非常に多種多様です。

身体による表現、というと、ステップ以外にも多くの表現を含んでいます。それは、音楽表現というよりはむしろ演劇・演技といった方がいいでしょう。音楽にはそのメロディの奏でるシーンというものがあります。マーチングにおいてそのシーンを表現することは、近年重要視されています。例えば、驚きのシーンを表現するために飛び跳ねてみたり、悲しみのシーンを表現するためにうつむいて目を擦ってみたり・・・・・・。このような演劇的要素を取り入れることによって、様々な身体表現を身に付けることが可能でしょう。また、演劇とまでいかなくても、音の消える瞬間に同時に動作を停止させるなどの演出も、身体による表現のひとつです。また、この身体による表現は、体育的効果にも繋がる点があるということは、言うまでもないでしょう。

さて、マーチングの一効果について述べてきましたが、マーチングを始める際に個人的にこのようなことを考える人はいないでしょう。ですが、少し理論的に考えてみると、たったひとつの効果が多彩な要素の上に成り立っていることに気づきます。音楽的視野から見たマーチングが、他の要素を含むものであるとわかるでしょう。

 

※こちらは、2001年12月15日に書き、2010年6月23日に一部修正した記事です。

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