Vol.05:『マーチングの一効果~身体的影響~』

マーチングの要素にはいくつかありますが、そのひとつに体育的効果というものがあります。健康的である、機敏な動作が身につき美しい身ごなしができる、といった効果です。

さて、この効果、言葉面ではあまりピンときません。健康的である。何がどのように健康的なのでしょうか。機敏な動作が身につき美しい身ごなしができる。何がどうなってそうなり、それがその後何の役に立つのでしょうか。これは、マーチングにおける重心移動のプロセスが絡んでいます。

人間の身体というのは、本来中心線(頭のてっぺんから両足を合わせたときの中心点を結んだ線)がまっすぐになった状態でバランスが取れています。しかし、荷物を持つ手が片側に偏っていたり足や腕の組み方が偏っていたりと、普段の生活状況で徐々にバランスが乱れ、そのことがさらに姿勢の悪化を引き起こし、悪循環になっています。身体のバランスが乱れると、均等に加わっていた力が一点に集中するので、ひずみが生じます。生活上に生まれたひずみによって生活上には直接大きな影響はないのでしょうが、それがきっかけになって大きな怪我や損傷を生じることはあるようです。最近ではO脚や外反母趾を患っている方が多いようですが、これらもバランスの乱れからくるものです。

また、バランスが崩れた状態では、正しいバランスの状態に比べ、咄嗟の判断に対する身体の反応速度が鈍く、危機回避能力等に著しい差が表れることが、某研究チームの研究によって証明されています。

マーチングにおいては、楽器演奏をしながら動作を行うことから、上体のバランス、重心の移動に注意が必要になります。乱れたバランスを修正するには、右手で重い荷物を持った後には左手でも持つようにしたりと、身体にかかる負荷を均等にすること、重心の偏りを無くすことが必要です。マーチングではこの上体が擬似的に作られています。バランスの良い状態での動作が、身体のひずみを軽減し、咄嗟の判断に対する身体の反応速度を高く維持します。これが、機敏な動作が身につき美しい身ごなしができる、ということなのです。

また、マーチングはウォーキングに楽器演奏がついた状態ともいえます。ですから、有酸素運動を行っていると動揺の効果が表れます。もちろん、他の有酸素運動と同様に、始めの15~20分程度は脂肪燃焼などの効果は表れないので、十分な準備運動などを行った上でマーチングをしましょう。準備運動は当然身体の各部が柔軟に動くようにし、怪我を予防することが第一の目的ですが、十分に行うことにより、その後の有酸素運動の効果をより高く引き出してくれることになります。この有酸素運動が、健康的である、ということです。

さて、マーチングの一効果について述べてきましたが、マーチングを始める際に個人的にこのようなことを考える人はいないでしょう。ですが、少し理論的に考えてみると、たったひとつの効果が非常に大きな意味を持っていることに気づきます。体育的視野から、マーチングの効果が深いものであるとわかるでしょう。

 

※こちらは、2001年9月10日に書いた記事です。

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