Vol.01:『マーチングとは何か』

「マーチングとは何か、一言で表してみてください」

これは、僕が立命館大学応援団吹奏楽部でSub Drum Majorをしていたときに、部員の皆さんに出した質問です。大抵は予想していた答えでしたが、中には驚くような、首をかしげるような、そんなものもありました。その代表例を1つだけ挙げておきます。それは「マーチングとは『天下一品』(京都に本店を置くラーメンのチェーン店)のラーメンである」というものです。本人にその心を聞いたところ、こってりとこくがあって奥が深い、ということでした。確かに天下一品のラーメンはこってりとしています。ものすごく。スープは鶏がらをベースに様々なものが入っています。いろいろな要素を含んだマーチングを表した言葉として、彼の心に少しばかり感服しました。

この質問には、部員全員が答えました。当時のDrum Majorの方も、そして僕自身も含めて全員です。日本マーチングバンド指導者協会(当時)の「マーチングとは、吹奏楽の静的な要素に動的な要素を加味したもの」という定義に似通った答えが多いなか、たったひとつの単語でぴったりと一致したのは、僕とDrum Majorの方だけでした。その答えは「マーチングとは教育だ」ということです。僕は少しばかり詭弁を使いました。僕の中にある本当の答えは、違います。

マーチングには、音楽・体育・精神・社会、この4つの面で教育的効果があると考えられています。リズム感を体得し、表現することができる、身体による表現ができるといった音楽的な効果。健康的である、機敏な動作が身につき美しい身ごなしができるといった体育的な効果。豊な情操を高められる、忍耐力が養われるといった精神的な効果。集団の一員として責任感が養われるといった社会的な効果。

しかし、マーチングは教育なのだ、と実感しながらマーチングに携わっている人は数少ないはずです。ただ単に音楽が好きだから、体を動かすのが好きだから、マーチングが好きだから。それでいいのではないでしょうか。大切なのは何が好きかということであり、マーチングはその広い範囲に答え得るものであるということです。例えば、楽器を演奏することが好きな人はInstrument Playerとして。楽器を演奏するのはちょっと・・・でも体は動かしたい、またはダンスなどには自信がある、という人はColor GuardなどのFront Teamとして参加できます。人にものを教えるのが好きだという人はCoaching Staffとして参加できますし、ファッションなどに興味のある人は衣装などのDesign Staffとして参加ができます。絵を描くのが得意だという人は背景などのパネルのDrawing Staffとして参加ができます。

このように、マーチングは多くの「好き」に答え得るものです。そして、多くの人が集団の中で自分という存在を表現する機会を持つことができます。あの質問に対する僕の本当の答えは、「マーチングとは表現できるもの、また表現するところ、だ」ということです。そして、そのような面を生かした活動が幅広く行われることを期待します。

 

※こちらは、2000年11月20日に書いたものを一部修正した記事です。

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